子宮頸部 胎児残し、がん切除 琉大病院が成功


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球大学は24日、同大学医学部付属病院産婦人科が、早期の子宮頸(けい)がんを患う30代の妊婦に、胎児を残したまま子宮の患部を切除する手術を実施し、成功したと発表した。手術は昨年8月に実施され、女性は1月に無事出産した。

病院によると現在は母児とも退院し、健康で経過は順調だ。
 国内で同様の手術を受けて出産したのは、1例目の大阪大学医学部付属病院に次いで、琉大が2例目という。
 子宮頸がんは20~30代の若い女性に増えており、妊娠しやすい時期と重なる。県内でも子宮頸がんのタイプによっては、妊娠を継続したまま手術ができるようになり、治療の選択肢が広がった。
 同付属病院で手術を受けた女性は、妊娠14週で、がん細胞が子宮の深部に入り込む浸潤子宮頸がん(1B1期)が見つかった。17週で子宮頸部を広く摘出し、子宮体部と膣を縫い合わせる「広汎子宮頸部摘出術」を受けた。女性は今後も新たに妊娠、出産できる可能性があるという。
 妊娠中に子宮頸がんが見つかった場合、通常は妊娠を諦めて子宮を摘出する手術が標準治療だが、近年腫瘍の大きさが2センチ以下などを目安に、妊娠継続を望む人には、子宮と胎児を残す「広汎子宮頸部摘出術」ができるようになった。
 執刀医で同病院産婦人科の青木陽一教授は「妊娠中に子宮頸がんが見つかり、悩んでいる人にとって治療の選択肢になる」と話している。