三重金属工業、沖縄に開発拠点 新分野展開見据え


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事業開発拠点の県内設置に向け、市場調査に取り組む綾城佑紀所長=宜野湾市

 デンソーなど大手自動車部品メーカー向けに金型や電装部品の製造などを手掛ける三重金属工業(三重県、西本正社長)は、県内に部品製造や技術開発の拠点設置を計画している。

2015年中に技術開発事業に着手し、工場立地を進める考えだ。国内で三重県以外に拠点を設置するのは初めて。学術機関や他企業などとの連携を模索し、新事業分野への展開を図る。
 同社は、県内へのバイオ産業集積の兆しや活性化する国際物流ハブ(拠点)事業、沖縄科学技術大学院大学などに注目し、沖縄を事業開発の拠点に位置付ける。拠点化に向けて、13年12月に宜野湾市に沖縄事務所を立ち上げ、県内の市場調査を進めている。14年中に社員を本社から送り、金型の図面作製などを沖縄でも始める。金型や部品製造の需要など事業展開のめどが付き次第、工場を建設する。
 同社は1954年創業で三重県内に本社を含め4工場を有し、従業員は約290人。沖縄進出のきっかけは琉球大学卒業生らを採用したことだった。県出身者が地元で活躍できる機会をつくろうと、約5年前から検討を開始。現在、沖縄から13人を雇用し、リーダー人材の育成にも力を入れる。県出身者を中心に地元採用で沖縄工場を稼働させる予定だ。
 同社の2013年11月期の売上高は94億円。金型製造から樹脂製の成形部品などを一貫生産するほか、金属部品製造やレーザー加工、組み立て加工などを手掛ける。自動車の電気系統に関する部品を、大手の自動車部品メーカーに供給し業績を伸ばしてきた。沖縄事務所の綾城佑紀所長は「三重では既に医療と連携した事業を始めている。分野を広げるため、開発を中心に沖縄で事業を手掛けたい」と話した。(謝花史哲)