学童疎開の地に記念碑 宮崎県日向市美々津


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史実を後世に残そうと建立された「南風原学童疎開記念の碑」を囲む関係者=22日、宮崎県日向市菅原神社

 【南風原】1944年南風原町の学童と引率教諭ら36人が集団疎開した宮崎県日向市美々津で、同市の有志らでつくる実行委員会が「南風原学童疎開記念の碑」を建立した。22日同市で除幕式が開かれ、南風原町の国吉真章副町長らが参加した。

 戦時中、南風原町では44年から学童、教諭ら146人が宮崎県に集団疎開した。うち36人が美々津国民学校に疎開した。学童たちは親元を離れ、「やーさん(ひもじい)、ひーさん(寒い)、しからーさん(寂しい)」と言いながら、勉学に励み、45年の終戦を迎え、46年9月に帰沖した。
 戦後、学童疎開体験者が73年に美々津を訪問。2004年には学童疎開60周年で南風原町から体験者と共に児童らが平和学習で美々津を訪問し、日向市の中学生が南風原町を訪問するなど交流を続けている。
 実行委員会(橋口義弘会長)は、疎開当時に十分なもてなしができなかった後悔と二度と同様な悲劇を繰り返してはならないと願い、日向市などの支援を得て記念碑を建立した。
 南風原町では、同実行委員会に「受け入れてくれた地元の皆さんの支援で過酷な時代を乗り越えることができた。記念碑建立に感謝し、戦争のない平和な社会を築き上げるために努力したい」と謝辞を贈った。
 南風原町では学童疎開70周年のことし、こども平和学習で児童らを宮崎、熊本に派遣する。