教科書は採択地区内で統一 無償措置法改定を閣議決定


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 【東京】八重山教科書問題をめぐり、政府は28日、複数の市町村で構成する教科書共同採択地区内で、教科書採択に係る協議の手続きを明確化した教科書無償措置法改正案を閣議決定した。市町村教育委員会は教科書の採択理由を公表するよう努めるとの規定も盛り込んだ。2015年度の教科書採択から適用される見込み。

 竹富町は、採択権限が教育委員会にあるとした地方教育行政法(地教行法)を根拠に教科書を自主採択していたが、今回の法改定は「採択地区協議会の協議の結果に基づき、同一の教科書を採択する」ことを盛り込んでおり、15年度の教科書採択で同町教委が自主判断で教科書を選定できないよう法的な縛りをかける狙いがあるとみられる。
 無償措置法改正案は開会中の通常国会に提出される見通し。
 教科書無償措置法は、同じ地区内で教科書を統一するよう定めている一方、地教行法では採択権限は各教育委員会にあるとしており、相反する2法の解釈をめぐって竹富町と文部科学省で意見が分かれている。
 八重山採択地区協議会が選定した教科書を竹富町教委が採択しなかった問題を機に、下村博文文科相は「共同採択のルールを明確化し、こうした問題が発生しないようにしたい」と改定する方針を示していた。
 今回の改定は採択地区の設定単位を「市町村」に柔軟化することも盛り込まれたが、八重山採択地区協議会の分割について文科省は「十分に教科書の調査研究が可能かどうかを踏まえれば、八重山地区は一つの地区として設定すべきだ」と分割方針を否定している。
 今回の改定は、(1)採択地区内の各市町村による協議会の設置(2)教育委員会は協議の結果に基づき、同一の教科書を採択―を義務付けた。協議会の組織や運営については、政令で定める。
 下村氏は28日の記者会見で「教科書採択制度の改善のため、共同採択地区の市町村教委の協議方法に関する規定の整備、採択結果と理由の公表について定めた。速やかな成立に向けて努力したい」と述べた。
 竹富町は、石垣市と与那国町とで構成する八重山採択地区協議会で選定した育鵬社版の中学公民教科書について、協議会の運営方法に問題があるなどとして拒否し、東京書籍版を使用している。