グアム海兵隊移転 上下水道、再積算を 米監査院が請求


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 【ワシントン=島袋良太本紙特派員】米政府監査院(GAO)は1日までに、在沖米海兵隊のグアム移転計画に伴う現地の上下水道整備の積算見直しを国防総省に求めた。移転規模が2006年の米軍再編合意の「兵士約8千人とその家族約9千人」から、12年の合意見直しで「兵士約4千人」に大幅縮小されたことが理由。移転に伴う上下水道の整備費は13億ドル(約1320億円)が見込まれるが、GAOは「信頼できず、全て必要か明確でない」と指摘した。

 国防総省は3月上旬に15会計年度(14年10月~15年9月)の国防予算案を順次公表する予定。米政府は議会に対し、グアム移転費の新規予算を増額要求し、執行を凍結されている事業費も凍結解除を働き掛ける可能性もある。
 ただGAOの指摘を背景に、厳しい姿勢でグアム移転事業を査定してきた米議会の態度は引き続き硬化することも考えられ、新規予算の可決や執行凍結の解除は年末の最終協議まで不透明な情勢が続く見通し。
 GAOは今回の指摘で「議会はグアムでのインフラ整備に関する必要性に関し、合理的に判断する十分な情報が与えられていない」とした。移転する海兵隊が島西部の「既存海軍基地を利用すると決断すれば上下水道の整備は不要になる」とも指摘し、移転計画の再検証も促した。
 一方、国防総省は上下水道の整備は「移転の規模には依存せず、環境保護庁の規格を満たすために必要だ」と反論している。
 在沖海兵隊のグアム移転費をめぐっては、費用や工程の見積もりがずさんだとして、米議会が過去に計上された予算について一部を除き執行凍結を命じている。議会は凍結解除の要件として国防総省に基本計画の策定を求めている。
 基本計画策定は18年までかかる見通しだ。国防総省は、15年にもグアム移転に伴う環境影響評価がまとまり、費用の大枠が見えるため、それを機に議会との交渉に当たるとみられる。
 米議会は昨年12月9日、グアム移転予算の一部凍結解除を認めたが、基本的には凍結措置を継続することを決めている。
 今回のGAOによる指摘はその後の同月17日になされた。