葛藤乗り越え、調和 TAMATE箱


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
個性のぶつかり合いを乗り越えた調和をダンスで描くTAMATE箱のメンバー=2月23日、沖縄市のコザゲートアパートメント

 ダンスプロジェクトTAMATE箱の第4回公演「QUINTET(クインテット)~5人がおりなすダンスの五重奏~」(主催・まちづくりNPOコザまち社中、TAMATE箱)が2月22、23の両日、沖縄市のコザゲートアパートメントで開かれた。

内間るり子、大城志奈子、知花幸美、比嘉環、茉莉花の5人が個性の際立つキャラクターを演じた。スリリングな駆け引きを乗り越えて像を結ぶダンスの調和が、来場者を舞台に引き込んだ。
 次の公演の内容を決めるため、カフェに集まる5人のダンサー。個性の際立つ面々が意見を戦わせる。忍び足でカフェに入ってくる比嘉は臆病で人見知りの人物。マイペースでぶりっこの大城は遅れて到着し、打ち合わせが始まる。しかし頑固で融通が利かない茉莉花、おしゃべりな知花らを交えた自己主張の応酬に、神経質な内間はノートをテーブルにたたきつけていらだちを表す。
 個性が衝突し、相手をいなしたりする会話のやりとりを、身ぶりで表現する。主張が熱を帯びてくると5人は立ち上がってテーブルの周りで踊り、いす取りゲームのような駆け引きを繰り広げる。
 メンバーの個性を反映したダンスが一つ一つ具体化される。最初は自己完結していたそれぞれの世界観だが、ダンスが激しさを増すほどに調和を見せ、5人は統一された身体表現を描くようになる。個性をぶつけ合う葛藤を乗り越えた先に化学反応のように形を成す表現は、集団で踊るダンスの魅力を体現した。
 前回までより小さな会場での公演。出演者と来場者との距離が近いことも、出演者が演じる駆け引きの緊張感を来場者に体感させる上で生かしていた。(宮城隆尋)