県内、災害弱者支援遅れ 計画済み24市町村


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41市町村の要援護者の支援計画(予定含む)

 災害発生時に高齢者や障がい者の避難を手助けする全体計画を策定しているのは、県内で24市町村にとどまり、策定率は58・5%と全国最下位であることが、琉球新報社が7日までに県内41市町村に実施したアンケートで分かった。

災害時の避難支援や安否確認に用いる「災害時要援護者名簿」を作成しているのは27市町村(作成率65・8%)だった。県福祉・援護課が2月に発表した2013年3月末の調査では、全国平均で87・5%が計画を策定、名簿は73・4%が作成しており、県内で災害弱者に対する支援体制の整備が遅れている実態が浮き彫りとなった。
 計画策定・名簿作成が進まない理由として「人員不足」(与那国町)「関係課との調整に時間を要する」(豊見城市、八重瀬町)などを挙げており、離島県で小規模自治体が多いという沖縄特有の事情もうかがえる。名簿作成にあたって、個人情報保護法の影響で進まない現状も報告された。
 県福祉・援護課の調査で、昨年3月末時点では計画策定は19市町村、名簿作成は18市町村で、約1年間で若干の進展にとどまった。
 災害時に自治体が取るべき措置を定めた地域防災計画の見直しは、28市町村が実施し、残る13市町村は修正中とした。昨年本紙が実施した同調査では、見直しを実施したのは6市町村だったことから、前進が見られるものの、約3割は依然見直しに着手していないのが現状だ。
 調査は、2月12日から41市町村に用紙を配布し、全市町村から回答を得た。

<用語>災害時要援護者支援制度
 地震や津波、台風などの災害時、避難の手助けが必要な高齢者や障がい者、難病患者などの要援護者を支援する制度。政府は2005年に「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」を策定、支援制度の取り組みを促した。市町村は地域の実情を踏まえた基本計画を作成。利用したい要援護者は共有名簿への登録に同意し、災害時にこれらが活用されて支援が受けられる。