八重山教科書 きょうにも是正要求 国、竹富町に直接


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 採択地区内で公民教科書が統一されていない八重山の教科書問題で、文部科学省は14日にも、地方自治法に基づく直接の是正要求を竹富町教育委員会に出す方針を固めた。教育行政で国が市町村に直接是正要求するのは初めて。県教委に対して竹富町に是正要求するよう指示していたが、県教委が判断を先送りしているため、最も強い措置に踏み切る。

 八重山地区では2011年8月、3市町教委が教科書選定を諮問した教科用図書八重山採択地区協議会が保守色の強い育鵬社版を選定し、それぞれに答申した。竹富町教委は教科書調査員の評価が最も低かった育鵬社版が選定されたことを問題視し、評価が高かった東京書籍版を独自に採択して使用している。
 文科省は「採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない」と定めた教科書無償措置法に竹富町教委が違反しているとして、同教委に公民教科書を無償配布せず、採択地区協議会の答申に沿って育鵬社版を採択するよう指導。県教委にも竹富町に是正要求を出すよう指示していた。
 文科省の指導に対し、竹富町教委は「竹富町が違法なら石垣市、与那国町も違法だ」と違法性に関する認識の相違を主張。本年度まで民間からの寄付を受けて東京書籍版を生徒に配布しており、来年度も東京書籍版を配布する準備を進めている。
 地方自治法に基づく是正要求を受けた市町村は是正のための改善義務を負うが、従わなくても罰則はない。地方教育行政法にも是正要求の規定があるが、児童生徒の教育を受ける機会が侵害されていることが明らかな場合に限られており、今回は同法に基づく是正要求は見送られている。