枯れ葉剤被害を認定 元沖縄駐留米兵・前立腺がん発症


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 【ワシントン=島袋良太本紙特派員】1967~68年に沖縄に駐留した元海兵隊員が、猛毒ダイオキシン類を高濃度で含む米軍の枯れ葉剤と接触し、前立腺がんを患ったとして、昨年10月に米退役軍人省が健康被害を新たに認定していたことが18日までに分かった。

同省が元米兵に対し、沖縄での枯れ葉剤暴露を理由とした健康被害を認定するのは、明らかになっているだけでも4件目となる。
 退役軍人省の裁定は2013年10月24日付。裁定書によると、元米兵は那覇軍港(那覇市)、ホワイトビーチ(うるま市)から嘉手納基地内の貯蔵地区に枯れ葉剤を運搬した。北部訓練場(国頭村、東村)でも枯れ葉剤を散布したと証言している。裁定書は元米兵を匿名としているが、1967年1月から68年1月に沖縄に駐留したと記載している。
 元米兵は「エージェント・オレンジ」と呼ばれる種類の枯れ葉剤であることを示すオレンジの縞(しま)模様が入ったドラム缶、ゴム製の袋状容器に入った枯れ葉剤を運搬したと証言している。容器から漏れ出ていたため、日常的に枯れ葉剤に接触したという。
 裁定書は元米兵について「沖縄駐留中、枯れ葉剤を含む有毒の除草剤に接触したように思われる」と指摘した。米政府は沖縄での枯れ葉剤の貯蔵・使用を否定していると言及したが、「元米兵の証言は非常に信頼でき、一貫した内容だ」と評価し、被害認定した。
 裁定書の存在を18日付の英字紙ジャパン・タイムズで発表したジャーナリストのジョン・ミッチェル氏は「昨年、国防総省が沖縄での枯れ葉剤の存在を否定する報告書を発表して以来、初の被害認定で重要な意味を持つ。米政府が元米兵には被害補償を認める一方、沖縄の人々には枯れ葉剤の存在を否定し続けるのは偽善的だ」と批判し、調査が必要だと述べた。