渡名喜村 医療費無料、高校まで 人口減阻止へ県内初


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 渡名喜村が「こども医療費助成制度」の通院助成の対象を2014年度から高校卒業まで拡大することが20日、分かった。高校生まで通院医療費を助成するのは県内では初めて。助成によって通院医療費の自己負担分が無料になる。同村の子どもたちは高校進学に伴い本島などに移り住むため家庭の出費が増えることから、村は通院費助成で経済的負担の軽減を図るほか、住民票の転出を防ぎ人口減少も食い止めたい考えだ。

 4月以降、高校生15人を含め45人が対象になる見通し。村に住民票があれば本島の医療機関を通院受診しても、医療費は無料になる。2月末現在、同村の人口は402人。村民生課は「家計の負担を少しでも軽減させたい。また高校生の住民票を村外へ移す家庭もあり、人口が減ると地方交付税も減ってしまうので、18歳までは住民票を村に置いてほしい」と話している。
 同制度は市町村が実施主体で、医療費の自己負担分を2分の1ずつ、県と市町村が助成する。県補助の対象年齢は通院助成が3歳までのため、4歳以上も対象にしている市町村は、独自の予算で助成している。
 4月から長女(15)が那覇市内の高校に進学する同村の又吉まゆみさん(45)は助成拡大を歓迎。「アパートの家賃や交通費など二重生活は費用がかさむ。慣れない1人暮らしで娘は体調を崩しがちになり、通院の機会も多くなりそうだ」と続けた。比嘉千賀子さん(47)は、高校を卒業した息子2人について「インフルエンザや部活動中のけがで何度か通院し、医療費がかかった」と振り返る。中学2年生の長女は対象になるため「家計が楽になる」とほっとした様子で話していた。
 県によると2月現在、名護市、金武町、嘉手納町、宜野座村など9市町村が通院医療費の助成対象を中学卒業まで拡大している。14年度には南風原町、与那国町など4町村が中学卒業まで拡大する予定だ。
(高江洲洋子)