市民有志、言葉胸に 辺野古移設阻止で「19行動」


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「チルダイしない」と思いを語る大西初子さん(手前右端)、福地信昭さん(手前中央)、上野郁子さん(手前左端)ら19行動で座り込む参加者=19日、名護市辺野古

 【名護】普天間飛行場の名護市辺野古への移設を阻止するため、平和を願い反対運動の先頭に立ってきたヘリ基地反対協の代表委員を務めた故大西照雄さんの妻・初子さん(69)ら市民有志が大西さんの月命日、座り込み開始日、稲嶺進名護市長再選の日を忘れないようにしようと、毎月19日に「19(いちきゅう)行動」と名付けて座り込み行動を始めている。

初子さんらは病床の照雄さんが残した「チルダイ(落胆)するなよ」の言葉を胸に「人々が集まるきっかけにしたい」と思いを込める。
 政府が辺野古での事実上の工事を着手したボーリング調査が実施されたのは2004年4月19日。同日から住民らは辺野古漁港で座り込みを始めた。
 そこでヘリ基地反対協代表委員として活動したのが照雄さんだ。国頭村出身で名護市内で暮らした照雄さんは、高校教諭として平和教育に尽力した。
 退職後は辺野古の座り込み行動の先頭に立ち、東村高江のヘリパッド建設工事反対の座り込みにも差し入れの食料を送るなど連携した。がんによる闘病生活を送っていた時も病床で「チルダイするなよ」と仲間を励ました。その照雄さんが亡くなったのは昨年6月19日だった。
 「先頭に立ってきた照雄さんの言葉を忘れない」。こう話すのは照雄さんが会長を務めていた名護平和委員会の福地信昭会長、上野郁子事務局長。行動は福地会長らが提案し、基地建設阻止の一筋の望みとなる稲嶺市長が再選したことし1月19日にもちなんで、2月19日に行動を始めた。
 稲嶺市長再選2日後、政府は新基地設計などの受注業者を募る入札を公告した。4月からはボーリング調査など基地建設に向けた作業が始まる見通しだ。「チルダイ」しそうな状況になりながらも初子さんは「夫も『頼む』と言ってるはず。これまで辺野古にあまり来なかったが、19行動を機会に基地を造らせない運動に参加したい。他の人もきっかけにしてほしい」と思いを込めた。(仲村良太)