辺野古埋め立て承認の根拠説明を求める意見書全文 名護市議会


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辺野古公有水面埋立承認申請書を県知事が承認した理由の根拠「基準に適合する」について、具体的な説明を文書で求める意見書
 名護市議会は、市長から提案された議案第67号公有水面埋立承認申請書に関する意見(辺野古地先)を、平成25年11月22日に原案可決しました。平成25年11月27日、名護市は同意見書を仲井真県知事に提出しました。平成25年12月27日、仲井真知事は辺野古公有水面埋立承認申請書を承認しました。名護市議会が原案可決した市長意見は、一顧だにされず無視されました。

 仲井真知事は、承認した理由として「基準に適合する」を繰り返し具体的な根拠は示されていません。
 よって名護市議会は市民の生命と財産を守る立場から、市民の声・市長意見の無視に抗議し、埋立承認している下記事項について、基準に適合する根拠を具体的に文書で説明することを求める。
 記
1.辺野古周辺地域には、16の行政区5,842人の市民が住んでいます。その上空を現在オスプレイが飛行訓練しています。この地域には、保育園2カ所、幼稚園3カ所、小学校3校、中学校2校、児童施設1カ所、老人介護施設2カ所、国立高専があります。普天間で危ないものは辺野古でも危ないことは自明のことです。県知事は、辺野古では危なくないことが基準に適合している根拠について具体的に説明すること。
2.沖縄県環境生活部が「生活環境及び自然環境の保全についての懸念が払拭できない」と結論付けて、昨年11月土木建築部海岸防災課と県農林水産部漁港漁場課に、48件の不備を指摘して「普天間飛行場代替施設建設事業公有水面埋立承認申請書に関する意見」を提出しました。県知事が承認した平成25年12月27日まで、どのように基準が適合するようになったか、その根拠について具体的に説明すること。(48全項目)
3.オスプレイへの機種更新、代替移設先への配備、いずれもアセスは行われておりません。米軍では国家環境政策法に基づき、アセスは義務付けられています。オスプレイが配備された後も、実機飛行による騒音測定は行われておりません。アセス評価書には、ノースキャロライナにおける騒音を、辺野古周辺定点15カ所の騒音予測値がシミュレーションされています。名護市が行った実測値と隔たりがあります。また、辺野古から伊江島への経路下にある許田区・幸喜区の定点予測値もありません。県知事が承認した基準に適合する根拠について具体的に説明すること。
4. 台風時、辺野古川の氾濫によって辺野古集落の浸水被害が繰り返されています。防衛局は、辺野古川河口周辺を作業ヤードとして埋立てる計画をしています。しかし、環境影響評価書では、台風の辺野古直撃のアセスは行われていません。台風時の浸水に対する評価は行われていません。基準に適合する根拠を具体的に説明すること。
5. 埋立土200万立方メートルを辺野古ダム周辺30ヘクタールの山林から赤土を採取するとしていますが、辺野古ダムの廃止は平成30年であり、当ダムの使用中に赤土が採取されれば、辺野古ダムを利用している水道水が著しく汚染されます。また、美謝川の河口を大浦湾に変更すれば、大浦湾が汚染されサンゴや海草、海生生物に多大な被害をもたらします。埋立土砂採取と美謝川の変更が基準に適合する根拠について、具体的に説明すること。
6. 埋立てによって、レッドリスト(2012年8月環境省)において、準絶滅種として掲載された海草やウミガメの産卵する浜がなくなる。また、ジュゴンの餌でもある藻場がなくなれば、国の天然記念物のジュゴンが死滅します。大浦湾の世界的に大きな青サンゴの群落もなくなります。辺野古公有水面埋立によって自然破壊が行われます。これらの状況がどうして基準に適合する根拠になるのか具体的に説明すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成26年3月25日
 沖縄県名護市議会
 宛先:沖縄県知事
→記事 辺野古承認「知事は文書説明を」 名護市議会が意見書