クーチーモーイ 絶妙 伊舎堂の舞、継承


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「真津がま」を踊る谷田嘉子(左)、金城美枝子両家元=15日、浦添市の国立劇場おきなわ

 玉城流扇寿会の谷田嘉子、金城美枝子両家元のリサイタル「第12回『琉舞』馬勝る年願ら」が15日、浦添市の国立劇場おきなわで開催された。第1部は玉城盛義、伊舎堂正子らから受け継いだ古典と雑踊を披露した。

第2部は谷田、金城の創作を展開した。おはこの「加那ヨー天川」や、創作「真津(まちゃ)がま」(山内秀雄作詞・選曲・作曲)など、年輪を感じさせる絶妙な打組踊で魅了した。
 乙姫劇団の伊舎堂に師事した「加那ヨー天川」は、独特の間とこなしの踊り「クーチーモーイ」を見せた。年齢を重ね動きは落ち着いているが、目線や表情、体の底から思いがあふれる。女が男に水を掛ける独特の振りでは、客席から拍手が起きた。
 打組踊は男女を演じるものが多いが、「真津がま」は2人の男が美女・真津がまに恋い焦がれるユニークなテーマ。琉舞では珍しく、太鼓と鳴り物で舞台に出る。真津がまは登場せず、2人が思いを募らせるコミカルな振りで、美女ぶりを想像させた。
 比嘉美好、金城光子、中島政子ら弟子たちは、新作「花の踊り子」(清武マツ子作詞・作曲)や「浜千鳥」などを踊った。
 「加那ヨー天川」は、伊舎堂が間好子とのコンビで踊っていたものだ。谷田と金城は伊舎堂に教えを乞うため3カ月通い、最後は「ではこの踊りは誰が受け継ぐのか」と説得したという。体得に10年余を要し、ほかの踊りにも生かされている。「玉城流の品格があったからクーチーを受け取れた」とも語る。弟子たちへの継承にも期待したい。地謡は西江喜春、仲嶺伸吾、玉城和樹、安里ヒロ子、上地律子、比嘉聰、宮城英夫、川平賀道。田中英機くらしき作陽大客員教授の解説もあった。