恋愛物、劇的に 組踊保存会が「饒辺真山戸」


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再会を喜ぶ真山戸(左、佐辺良和)と玉かね(宮城茂雄)=3月16日、国立劇場おきなわ

 伝統組踊保存会(眞境名正憲会長)は3月16日、定期公演と社団法人移行1周年記念公演を兼ね、浦添市の国立劇場おきなわで組踊「饒辺真山戸(ゆふぃんめーまとぅ)」を上演した。組踊では珍しい恋愛物。作者不詳の組踊「大南山」を眞境名が補作・構成して復活させた。

もともとの美しい詞章と、新たに盛り込まれた踊りと音曲が相まって、ドラマチックな作品となった。
 2011年の復活以降、4回目の公演。粗筋は、真山戸(佐辺良和)が玉かね(宮城茂雄)と恋に落ちるが、親に結婚を許されず思い悩む。真山戸は再び玉かねを訪ねるが、玉かねは拒絶する。絶望した真山戸は海に身を投げる。
 後悔し後を追おうとする玉かね。その苦しさを表現する「述懐節」から一転、死んだはずの真山戸が「夜雨節」に乗せて軽やかに踊り出る。真山戸は、舟遊びをしていた屋慶名大主(眞境名)に助けられたのだ。本来は「東立雲節」で出羽だったが、「夜雨節」に変えて踊りを振り付けた。
 屋慶名大主が舟遊びに行く場面で、村の女童3人が踊る場面も補作した。女童で華やかさを出すのは沖縄芝居によく見られるが、組踊では新鮮に感じた。
 赤嶺正一は、真山戸を諭すおほじゃ(うふじゃ)(村の長者)を味わい深く演じた。地謡は島袋英治、中村一雄、山城暁、島袋功、大湾朝重、新城治、上地尚子、山内照子、嘉数世勲、知念久光、新城清弘、宇座嘉憲。