手作業でつばき油 「トゥイヌクチ」製法復活


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 【沖縄】沖縄市立郷土博物館(廣山實館長)や沖縄の植物の活用に取り組む市民グループは3月24日、県内で自生するツバキの種子から、つばき油を搾り出す作業の復活に挑んだ。会場となった東南植物楽園では伝統的な器具を使いながら、参加者の手作業で油を作った。

 作業復活に取り組んだのは博物館や沖縄こどもの国の職員、沖縄の在来植物の活用に取り組む有用植物研究会、沖縄椿協会、沖縄山野草の会のメンバーら。
 職員らは「トゥイヌクチ」と呼ばれる木製の道具を使った作業の復活に取り組んだ。「トゥイヌクチ」は2001年まで沖縄こどもの国が所蔵し、現在は郷土博物館が保管している。博物館の調査によると、沖縄本島では70年以上も「トゥイヌクチ」を使った作業は行われていない。
 作業復活に向け、博物館は「トゥイヌクチ」の複製を作製。椿協会のメンバーが沖縄市内でツバキの種子を集めた。作業の手順は有用植物研究会が助言。石臼ときねで種子を砕き、時間をかけて蒸した後、「トゥイヌクチ」で押して油を搾り出す作業を繰り返した。
 池原すみれ学童と松本すみれ学童の子どもたちも作業を体験。当初はなかなか油を搾ることができなかったが、蒸し時間などを調整するうちに「トゥイヌクチ」の間から黄色い液体が流れ出すようになった。
 作業復活に取り組んだ郷土博物館職員の川副裕一郎さんは「トゥイヌクチがどのような道具なのかも分からなかった。実際に油を搾り出すことができ、忘れられていた作業の復活という目的は果たすことができた」と話していた。

ツバキの種子を砕く作業を体験する子どもたち=3月24日、東南植物楽園
ツバキの種子を挟んだ「トゥイヌクチ」に乗り、油を搾り出す職員
沖縄市内に自生するツバキの種子から搾り出されたつばき油