【東京】昨年7月に浦添市前田で発見され、DNA鑑定で沖縄戦当時に陸軍伍長だった田畑耕三さん=享年33、本籍・秋田県=と判明した遺骨が7日、東京都町田市に住む遺族の元に戻った。
69年の時を経て遺骨を受け取った長男・一夫さん(76)と長女・柳澤貴子さん(75)、次女・加藤芳子さん(72)は骨壺を開け、「お父さん、やっと会えたね」と語り、目頭を押さえた。沖縄戦の戦没者の身元がDNA鑑定で判明したのは4例目。
耕三さんは樺太で電気店を営み、妻雪子さん(99)との間に4人をもうけた。1941年に召集されて満州に出兵し、44年に陸軍第24師団の一員として沖縄に渡った。
一夫さんの記憶にある父は3歳のころ。手伝おうとして、商品のガラス製品を割り、手首を切ってしまった時に驚いた父の顔だ。「この傷を見るたび、おやじを思い出す。幼くても覚えていられたのは、触れ合った記憶があるから」としみじみ語った。
末っ子の芳子さんは母のおなかの中にいて、記憶がない。「お父さんがいる家がうらやましかった。会えてうれしい。人生で最高の時だ」と涙ぐんだ。
遺骨は遺骨収集ボランティア団体「ガマフヤー」(具志堅隆松代表)の調査で見つかった。遺骨周辺に「田畑」と彫られた印鑑、財布などがあり、一夫さんが「父かもしれない」と名乗り出た。具志堅さんは「工事関係者の協力で遺骨が見つかり、遺族に返せた。開発の前に遺骨収集し、遺族に返せる環境づくりが必要だ」と話した。
兄妹は近く、母に報告する予定だ。「母は娘の顔を忘れる時もあるけど、父の写真には『耕三さんでしょ』と答える。早く対面をさせたい」と話した。(島洋子)
英文へ→Remains of former Japanese soldier returned to his family 69 years after his death
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