沖縄のつらさ理解して 宮良瑛子さん個展


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展示会の開幕トークショーで自身の作品が生まれた背景を語る宮良瑛子さん(右)=19日、埼玉県の原爆の図丸木美術館

 【埼玉】沖縄戦を女性の視点で描いた「シリーズ焦土」などの作品で知られる画家、宮良瑛子さんの展示会が19日、埼玉県の原爆の図丸木美術館で始まった。「美ら島・辺野古」など約60点を出展している。7月12日まで。

 県外で、大作を含めた本格的な個展は初めて。宮良さんは「沖縄の置かれている現実のつらさや不合理、言葉や音で言えないことを絵で発言したいと思って描いてきた。本土の人に絵を通して沖縄問題への理解を深めてもらえれば絵描き冥利(みょうり)に尽きる」と話した。
 開幕トークショーでは約100人の聴衆を前に、宮良さんと県立博物館・美術館の豊見山愛主任学芸員が宮良作品の生まれた背景などを解説した。
 宮良さんは1969年に初めて沖縄を訪れ、「軍隊に占領されている地が、いかに無法かを実感した。この体験が今に至る私の原点」と、平和を追求する一連の作品づくりにつながったと語った。同時に、市場で働く沖縄女性のたくましさとおおらかさにも引かれ、「アンマー・シリーズ」に取り組んだ経験も話した。
 丸木美術館の小寺隆幸理事長は「米軍基地に代表される、沖縄に犠牲を押し付ける構造や沖縄の人々の痛みをもっとよく知るために、宮良さんの作品から何かを感じ取ってほしい」と話した。