路地裏に歴史あり 首里の史跡20カ所巡る


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学芸員の説明を聞く参加者ら=12日、那覇市の安谷川

 首里地区に残る歴史的な場所を学芸員と共に巡るツアーが12日、首里駅を出発地として開催された。琉球王国時代の景勝地であった虎瀬山など20カ所の旧跡や史跡を巡る約3・7キロのコースで行われた。

約30人が参加し、学芸員の話や配布された資料を見ながらメモを取り、質問していた。
 首里地区は首里城周辺の旧跡や史跡はよく知られているが、多くは普段見過ごしてしまうような住宅地や路地裏にある。そのため観光客だけでなく県民、地域住民もあまり足を運ばない。大学時代に沖縄の歴史を学んでいた赤嶺佐和子さん(27)=那覇市=は「学芸員さんの説明があるから分かる。普段なら素通りしてしまうかもしれない」と話す。
 積極的に質問していた宮城保茂さん(64)は「当時の情景を思い、歩きながら知ることは大切だ。何度来ても新たに学ぶことがあり楽しい」と笑顔で語った。
 那覇市は1994年、沖縄戦や戦後の復興・開発の過程で失われた歴史的な旧跡や地名が残る場所に説明標示板を立てる「那覇市旧跡・歴史的地名標示事業」を始め、2014年3月までに市内106カ所に標示板を設置している。
 那覇市歴史博物館では標示事業の完了を記念して、「那覇市の史跡・旧跡~みんなで歩こうNahaCity~」と題し企画展を5月28日まで開催している。4月23日まで首里・真和志地区、同25日からは那覇・小禄地区を紹介する。今回のツアーは企画展の一環で行われた。
 ガイドを務めた外間政明学芸員は「何げなく通っている場所には歴史がある。県民が地域の歴史にもっと目を向けてほしい」と語った。
 那覇市歴史博物館は「今回のツアーは好評ですぐに定員に達してしまった。秋ごろに同様のツアーを企画する予定だ」と話した。