調査研究も「単独」 教科書単独採択の3町村


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 全国で教科書採択地区を単独で設定している14町村教委のうち、3町村が、採択作業の前提となる教科書の調査研究作業も単独で行っている。国は、自治体規模が小さいなどの理由で「十分な調査研究ができない」と竹富町の単独採択地区化に難色を示している。

しかし、県外の事例は小規模教委でも採択・調査研究ともに可能であることを示している。
 改正教科書無償措置法の施行を受け、竹富町教委は町教委単独での採択地区に変更する方針を示しているが、調査研究について明確な考えは示していない。慶田盛安三町教育長は「竹富には退職教員も、有識者もいる」と話し、単独での調査研究にも十分対応できるとの考えを示した。一方、県内識者の中には、竹富単独での調査研究は、調査員を務める現場教員への負担が大きいなどとして導入へ慎重な声もある。
 県外14教委のうち、調査研究も単独で実施しているのは小笠原村(東京都)、島本町(大阪府)、那賀町(徳島県)の3教委。残りは単独の採択だが、調査研究は近隣の市町村教委と共同で実施している。
 小笠原村には、二つの島に小中学校が1校ずつある。教委担当者は「近隣市町村とは千キロ以上離れ、共同研究は難しい。今後も単独で調査研究、採択する予定だ」と話した。
 同じく単独実施の島本町教委の担当者は「単独採択で不便を感じているとの声は聞いたことがない。調査員が集まりやすいように、研究会場を常設しているほか、日程は現場の教師に任せ柔軟に決められるように工夫している」と話した。
 近隣市町村と共同で調査研究をしている教委の担当者は、利点として「多くの人が参加することでさまざまな意見を出すことができる」「教員の負担を軽減することができる」などを挙げた。