竹富教科書 県教委、分離後に共同研究も


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 【東京】八重山教科書問題をめぐり竹富町教育委員会が八重山教科書採択地区から分離を求めている件で、諸見里明県教育長は22日、文部科学省で前川喜平初等中等教育局長と面会し、町教委の意向を尊重して地区を見直し、単独で教科書を選べるよう検討する考えを伝えた。

 竹富町教委を八重山地区から分離した上で、3市町が共同で教科書の調査研究することを提案する意向も明らかにした。国による町教委を相手にした違法確認訴訟については「速やかに解決してほしいというのが県民の願いだ。避けてほしい」と訴えた。
 前川局長は「八重山地区は地理的、自然的、文化的、社会的な条件から一つの採択地区であるべきだ。県教委はその方向で検討してほしい」と現状維持を求めた。さらに使用する教科書を育鵬社版に採択し直すことを町教委に強く指導するようを求めた。
 諸見里県教育長は面会後の会見で、教科書無償措置法改正に基づく教科書採択地区の設定について「採択の責任と権限は市町村にある」との姿勢を強調した上で、「一体という考えには同感だが、竹富町がしっかり論議して離脱したいというなら、尊重せざる得ない」と述べた。5月21日の教育委員会で新たな採択地区を決定すると説明。諸見里県教育長は竹富町教委が単独の採択地区になれば、来年度に使用する公民教科書を単独で採択することができ、文科省が主張する「違法状態」は解消できるとした。
 違法確認訴訟の提起については「現場を混乱させることは避けてほしい」と提訴しないよう求めた。前川局長は「竹富町の判断を見て、決定する」と従来の方針を述べたという。