辺野古漁港申請 防衛局、回答期限「法的根拠なし」


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 【名護】沖縄防衛局は28日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て工事の手続きで、漁港使用許可など名護市に申請した6項目に対する市の回答期限を5月12日に設定したことについて、「法的根拠はない」と伝えた。

期限の根拠を尋ねた市に答えた。一方で防衛局は期限は変わらないとし、市の回答がなければ「ないものとして処理する」との方針を示した。名護市は「『法令上必要な手続き』としながら根拠のない期限設定は矛盾する。手前勝手な言い分だ」と、移設に向けた政府の強硬姿勢を強く批判している。
 沖縄防衛局は取材に対し、根拠がないとした回答期限の設定に関して「移設手続きを速やかに進めるためだ。今後も適切に対応する」と説明した。
 名護市は11日に防衛局から6件の申請を受け、内容の不明瞭な箇所や資料不足について指摘。期限設定も一方的だとして問題視し、説明を求めていた。
 防衛局の回答を受け、市は「非常識な手段に出られた場合の対応を早急に検討する」としている。
 稲嶺進市長は市長権限を行使して移設を阻止する考えを示している。市は辺野古漁港の占有許可申請は市漁港管理条例に基づき、市長権限が強く反映される事案とみており、仮に防衛局が市の許可を得ずに漁港を使用した場合は、「市条例に違反する」と強い態度で対応する構えだ。
 条例では占有期間は1カ月、工作物設置目的でも3年を超えられないとしているが、防衛局が期間について「(埋め立ての)事業完了まで」と申請したことも疑問視している。
 防衛局は県に提出する岩礁破砕許可でも「事業完了まで」と申請。県の岩礁破砕等許可取り扱い方針では、許可期間は地元漁協の理事会決議に基づく同意で1年、総会による同意で3年が限度としている。
 県水産課は「全ての手続きは同方針に縛られる」と説明しており、防衛局の見解とは異なる。
 防衛局の期限設定や申請内容について名護市は、「国が法律や条例に基づかない手続きを進めようとしている」と厳しく指摘した。