こいのぼり掲げ祈り 小桜の塔建立60年、当時を再現


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建立から60年の節目を迎え、こいのぼりを掲揚した「小桜の塔」=5日、那覇市若狭

 那覇市若狭にある対馬丸犠牲者を祭った慰霊碑「小桜の塔」で5日、慰霊碑建立60年の節目に関係者が祈りをささげた。塔は60年前の1954年5月5日、愛知県の有志らの寄付によって建立された。60年前の除幕式に掲げられたこいのぼりを節目の日に再現しようと、対馬丸記念館が提供を呼び掛けていた。

 対馬丸で兄2人を亡くした対馬丸記念会副理事長の渡口眞常さんと、姉2人を亡くした同会常務理事の外間邦子さん、学芸員の慶田盛さつきさんが雨の中、線香を上げて手を合わせた。天候が良好な3日にこいのぼりを掲揚した。
 外間さんは「こいのぼり寄贈の呼び掛けを通して一人一人の遺族と話す機会ができて良かった。愛知の人たちにも報告し、来年以降も継続していきたい」と語った。
 渡口さんは「対馬丸沈没から8月で70年、対馬丸記念館設立から10年と、ことしはいろいろな節目の年。この機会にこいのぼりを掲げることができて良かった」と語った。
 現在の地に移転前の「小桜の塔」は、60年前に沖縄戦で亡くなった全ての子どもたちを弔うために建立された。
 その後、対馬丸犠牲者の遺族が多数集まるきっかけとなり、遺族会発足につながった。