辺野古移設、21地点で掘削へ ボーリング調査


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辺野古沿岸部の新基地建設に伴うボーリング調査が予定されている海域

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う埋め立て工事に向け、沖縄防衛局は6月以降に辺野古沖の21地点を掘削する海底ボーリング調査を実施する方針だ。

水深の深い12地点に作業用のスパット台船、残り9地点に調査用の単管足場を設置し、履行期間の11月30日までにボーリング調査や磁気探査などを行う予定。防衛局は作業を急ぐ構えだが、移設に反対する住民らの抗議活動のほか、台風の襲来なども予想され、「期間内に作業を終えるのは難しいのではないか」との声も上がっている。
 移設工事に向けた防衛局の入札公告は12件で、そのうち11件は陸上部分の建物解体や設計、生物調査。海底ボーリング調査は13日に開札し、5月下旬に業者を選定する予定だ。
 沖縄防衛局は2004年にも海底ボーリング調査に着手したが、基地建設に反対する住民らの強い抵抗で05年に中止に追い込まれた。今回も激しい抗議活動が予想され、関係省庁は対応策を検討している。
 沖縄防衛局が業者向けに作成した調査業務委託の特記仕様書では、スレッド台船3隻を福岡から中城港まで運搬。中城港内岸壁で装備品などを設置する艤装(ぎそう)作業を行い、辺野古沖のボーリング調査地点に向かうことを予定しているが、艤装場所の変更も想定している。単管足場は予備2基を含む計8基、ボーリングマシン6台は那覇から作業基地に運搬するとしている。
 調査船の周囲で警戒監視を行う警戒船はサンゴやジュゴンの調査を含め、11月30日までの履行期間中に延べ1252隻を計画。沖縄防衛局は「契約業者が調達するべきもの」としており、防衛局が直接漁業協同組合などに協力を要請することは否定。ボーリング調査を実施する業者が漁協などを通して民間船を確保するとみられる。
 県内に事業所を置くボーリング調査業者は「04年当時は単管足場に反対派の住民が上ったりして作業が中断した。夏場は台風が来る恐れもあり、履行期間内に調査を終えられない可能性もあるのではないか」と話している。