戦没遺骨に切断痕 病院壕近く、傷病兵か


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手術器具による切断痕がみられる大腿骨(左)。右の遺骨に比べて切断面に凹凸がなく平たい=11日、豊見城市

 【豊見城】遺骨収集ボランティア団体「ガマフヤー」(具志堅隆松代表)が4月末、豊見城市の豊見城火葬場付近の山で沖縄戦当時の旧日本軍兵士とみられる遺骨を発見した。

現場は、豊見城城跡に掘られた第24師団第2野戦病院壕から約50メートル下の岩場で、見つかった大腿(だいたい)骨の断面には手術器具で切断したとみられる痕がある。具志堅代表は「野戦病院に収容され、外科手術を受けた日本軍兵士の遺骨だろう」と話している。ガマフヤーが切断痕のある遺骨を発見したのは初めて。
 同壕付近で遺骨調査をしていたガマフヤーの洲鎌昭彦さん(55)=豊見城市=が、切断痕のある大腿骨や頭蓋骨、歯など複数人の人骨を発見した。発掘を進めたところ、複数の人の手足の骨が重なって見つかった。具志堅代表は「まだ調査中だが、おそらく10体以上の遺骨が埋まっているだろう」と話す。
 遺骨の発見現場は野戦病院壕にも近いことから、傷病兵の死体埋葬場だった可能性が高いとしている。
 具志堅代表は「遺骨の細部を丁寧に見ることで、身元や戦死場所、戦死状況などを知る手掛かりになる。DNA鑑定による身元特定にもつながる」と力を込めた。
 ガマフヤーではDNA鑑定による遺骨の身元特定に向け、豊見城の第24師団第2野戦病院壕に収容された日本軍兵士の遺族を捜している。問い合わせはガマフヤーの具志堅代表(電話)090(3796)3132。