名護市の回答見送り 政府、法的措置も検討


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沖縄防衛局が求めた6項目

 沖縄防衛局が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設のための埋め立て工事に向け、資材置き場に使うための辺野古漁港の使用許可など名護市に申請した6項目で、名護市は市長に権限がある4項目について防衛局が回答期限として設定した12日までに回答しなかった。

今後の対応について防衛局は「協議を継続するかどうかも含めて検討中だ」と説明した。政府は市への是正要求などの法的措置や、別の場所を資材置き場として使用することも含め、早期着工に向けた検討を進めるとみられる。
 防衛局はこれまで「12日までに回答がない場合は、協議が調わなかったものとして処理する」と協議を打ち切る方針を示唆していた。防衛局側の姿勢に対し、移設に反対する稲嶺進名護市長は同日、「法治国家としてあるまじき行為だ」と批判した。
 一方、菅義偉官房長官は12日の記者会見で「法律にのっとって粛々と進めていく」と述べるにとどめた。
 防衛局が名護市に提出したのは(1)埋蔵文化財の有無にかかる照会(2)漁港内の環境調査に必要な協議(3)辺野古ダム周辺での環境調査に必要な協議(4)水路の切り替えや土砂運搬用ベルトコンベヤー設置に必要な協議(5)辺野古漁港のヤード整備に伴う漁港施設の占有などに必要な申請(6)漁業権が設定されている漁場内での岩礁破砕などに必要な県への申請書に添付する市長意見書の提出依頼-の6件。
 このうち埋蔵文化財について市は、12日付で「照会区域には7カ所の遺跡が確認されており、適切に保存してほしい。照会区域には文化財分布調査が行われていない地域も含まれており、確認が必要だ」として、市教育委員会との調整を求める文書を防衛局に発送した。
 岩礁破砕に関して市は「後日意見書を提出する」とした文書を9日付で発送している。