シュワブ沖にブイ設置 進入者に刑事特別法適用


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立入制限区域の拡大が検討されている水域

 政府が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた海底ボーリング調査に向け、反対派の住民らの抗議活動を排除するため、キャンプ・シュワブの提供水域にブイか柵などを設置する方針を固めた。ブイを越えて進入してくる者については、刑事特別法(刑特法)を適用し、逮捕するとの方針を関係省庁で確認していることも判明した。

政府関係者が明らかにした。また、日米両政府がシュワブ沿岸の提供水域の「常時立ち入り禁止」の沖合への拡大について検討していることも明らかになった。
 柵やブイの設置は刑特法適用の前提となる提供水域の境界を明確化する狙いがある。設置箇所は不明。
 県民の多くが県内移設に反対する中、刑事罰の適用によって抗議行動を封じ込めようとする政府の手法に反発が高まりそうだ。
 刑特法は米軍施設・区域への立ち入りを禁じており、違反した場合は1年以下の懲役か2千円以下の罰金などが科せられる。県内では1976年に米軍の砲弾射撃演習に反対して恩納村喜瀬武原の提供区域で抗議活動を行った4人が刑特法違反容疑で県警に逮捕された。
 キャンプ・シュワブの提供水域は、沖合約10キロまでを陸地からの距離ごとに5区域に分類している。シュワブに近い第1水域と第2水域は「常時立ち入り禁止」に指定されているが、その範囲を沖合に広げて立ち入り制限を強化する方向で検討を進めている。
 2004年に那覇防衛施設局(当時)が辺野古海域でボーリング地質調査を実施した際、政府は漁船やカヌーで調査を阻止しようとした反対派住民らへの対応に苦慮し、調査が中断に追い込まれた。
 こうしたことから、今回は阻止行動をあらかじめ排除して辺野古移設を推進するために、防衛省と警察庁、海上保安庁が今年に入ってから刑特法の適用基準の明確化を協議。「抗議活動で提供水域に進入すれば逮捕できる」との結論に達した。
 防衛省は予備費約300億円を計上して海上に柵を設置する方向で調整していたが、設置作業に長期間を要するため、ブイで対応する案が有力となっている。さらに、調査期間中は複数の海上保安庁の船舶を辺野古沖に配備し、抗議活動を排除する方針。