5・15メモ解釈広げ適用 辺野古の海域制限・抗議排除


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キャンプ・シュワブで米軍が使用を許可されている水域

 政府が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事に向けた海底ボーリング調査を前に、刑事特別法(刑特法)を根拠に反対運動の排除を検討していることに関し、1972年の日本復帰時に在沖米軍基地の提供・使用条件などを定めた日米間の合意文書「5・15メモ」の解釈を拡大して適用する方向で、米側と調整していることが分かった。

米軍活動を妨げない限りは立ち入りを制限しないとする区域内に関しても、「継続的活動は許可しない」との規定に抵触するとして、抗議活動を取り締まることを検討している。
 移設候補地であるキャンプ・シュワブ沿岸の提供水域は沖合約10キロまで広がる面積約115平方キロと広大だが、海底ボーリング調査は、立ち入りが制限される海岸沿いの第1、第2水域のほか、「米軍の活動を妨げない限り漁業を制限しない」としている第3、第4水域でも予定されている。
 2004年の辺野古沖でのボーリング調査では、カヌーや漁船を使った抗議活動で中止に追い込まれた経緯がある。防衛省や海上保安庁など関係省庁は今年1月以降、刑特法を適用して抗議活動を排除するための要件を協議。海上での抗議活動に対して、シュワブ水域に関する5・15メモの規定が禁止する「継続的活動」に当たると解釈できるとの考えで一致した。
 政府は夏以降に実施する予定のボーリング調査に向け、米側とも提供水域の運用について協議。普段は立ち入りが制限されない第3、第4水域でも、予想される抗議活動については「米軍の活動を妨げる恐れがある」との認識を共有する方向で調整している。5・15メモでは、第3、第4水域内の活動については日本政府が「継続的活動」に当たるかどうかを判断するとしている。
 5・15メモは、沖縄の日本復帰に際して日米両政府が個別の米軍施設・区域の使用条件などを定めた日米合同委員会の合意文書。秘密事項とされていたが、県などの要求などを受けて1997年に公表された。