ジュゴン食跡、国も確認 専門家「重要な餌場」


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ジュゴンの行動調査(2013年5月、9月、11月)

 名護市辺野古に米海兵隊の新基地建設を進める沖縄防衛局は22日、米軍キャンプ・シュワブ水域生物等調査(2012年11月~14年3月)報告書を公表した。13年調査では埋め立て予定地の辺野古崎の大浦湾側に、ジュゴンが好むアマモなどが低密度で広がる海草藻場と食(は)み跡を確認した。

また15日間の調査で延べ17頭のジュゴンを嘉陽や大浦湾、古宇利島付近で確認した。
 一方、北限のジュゴン調査チームザンは21日までに、辺野古崎の大浦湾側で30本以上の食み跡を発見した。専門家は埋め立て予定地が「ジュゴンの重要な餌場である可能性が高い」と指摘する。
 本島北部の東から西海岸にかけての広範囲でのジュゴン生息が裏付けられ、埋め立てのための海砂採取や運搬予定海域も生息域と重なることから、工事による影響が懸念される。
 生息は「推定3頭」とされ、ジュゴンAは雄の成獣と確認、Bは雌、CはBの子どもと推測した。
 ジュゴンネットワーク沖縄事務局次長の細川太郎さんは「以前、古宇利島で発見された個体が大浦湾などに移って来ており、東海岸に定着しているのかもしれない。辺野古崎の大浦湾側がジュゴンの数少ない餌場になっている可能性が高い」と指摘した。調査が3個体と識別したことに触れ「尾びれに切れ込みのある個体(A)以外は識別が難しい。本当に3個体なのかも疑問」と疑義を示した。
 この調査は09年以降、防衛局が建設事業開始後に行う事後調査を効率的にするため、情報蓄積を目的に実施されている。報告書は防衛局ホームページで公開された。
英文へ→Okinawa Defense Bureau confirms traces of dugongs eating seaweed in the sea around Henoko