県教育長、竹富単独採択を報告 文科省に訴訟断念要望


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前川喜平初等中等教育局長に対し、竹富町教育委員会を単独採択にした経緯を説明する諸見里明県教育長(左)=22日、文科省

 【東京】諸見里明県教育長は22日、文部科学省で前川喜平初等中等教育局長と会い、八重山教科書問題をめぐり、竹富町教育委員会を共同採択地区から分離し、単独採択にした経緯や理由を説明した。その上で、文科省に違法確認訴訟をしないようあらためて求めた。

 前川局長は面会後の会見で、県教委の決定について「法の定める共同採択制度の趣旨に即しておらず、遺憾だ」としつつも、「法律上の権限を有する県教委の判断で認めざる得ない」と県の決定を認める考えを示した。訴訟については「竹富町が単独採択地区となることを前提として、あらためて検討しなければならない。大臣に相談して決めたい」と述べるにとどめた。
 諸見里氏は「3市町は独自の文化的、経済的な特性を有しており、八重山地域が一体性を有するとは一概には言い難い面もある。竹富町には独自の教科書に対するニーズがあるとして判断した」と説明。教科書採択に向けた調査研究については「町内の公立学校の教職員だけでなく、退職職員や学識経験者も活用し、単独でも調査研究は可能だ」と話した。
 これに対して、前川局長は県教委に対し竹富町教委が適切に教科書を採択できるようフォローアップするよう指導し、「不適切な実態があれば、共同採択への復帰も検討してほしい」と注文した。