「普天間」県外要求明記せず 知事、平和宣言で転換


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 仲井真弘多知事が23日の沖縄全戦没者追悼式で読み上げる平和宣言に、昨年まで3年連続で明記してきた米軍普天間飛行場の県外移設要求を盛り込まない方針であることが18日、分かった。県関係者が明らかにした。

 仲井真氏は昨年末、普天間の県内移設に向けた名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認。県外移設を求めてきた方針の撤回だと批判を浴びた。
 県関係者によると、今年は沖縄の米軍基地全体の負担軽減を求める内容にする方向で調整。「沖縄戦の犠牲者を慰霊する場であり、政治的なメッセージを強く訴えるのはふさわしくない」と説明している。
 仲井真知事は普天間の県外移設を公約に掲げ2010年に再選を果たし、11年~13年の慰霊の日の平和宣言でも「県外移設を強く求める」と訴えていたが、昨年末に辺野古埋め立てを承認したことで「公約違反」と批判されている。
 これに対し、5月30日の記者会見で知事は「政府に求めている5年以内の普天間飛行場の運用停止の実現は県外の受け入れがないと実現しない。そういう意味で私は何も公約をたがえているとは思っていない」と反論し、公約違反ではないと主張した。
 その上で、今年の慰霊の日の平和宣言で県外移設を盛り込むかについて「昨年、一昨年にどのような表現をしたか、チェックしたい。今度の宣言の内容は鋭意詰めているところだ」と述べるにとどめていた。