「二つの戦争知って」 会沢さん、子を手に掛けた母熱演


社会
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一人芝居を通じ、沖縄戦の悲劇を児童たちに想像させる会沢芽美さん=19日、浦添市の前田小体育館

 【浦添】浦添市の前田小学校(平井りい子校長)は19日、メッセージシンガーの会沢芽美さんを招いた平和講演会を開いた。

会沢さんは沖縄戦証言を舞台化した一人芝居「もうひとつのせんそう」で、日本兵と住民が混在したガマ(自然洞窟)の中で幼いわが子を手に掛けてしまった母親の語りを演じた。児童は声を合わせて「平和メッセージ」を会沢さんに送り、平和の誓いを新たにした。
 北海道出身で1974年に沖縄に移り住んだ会沢さん。30年以上にわたり、歌や芝居を交えながら沖縄戦を追体験するコンサートを沖縄県内外で開催している。
 「もうひとつのせんそう」は、艦砲射撃に追われながら2歳の息子を抱えてガマに逃げ込んだ母親が、泣き叫ぶ子を殺すよう日本兵に追い詰められていく場面を演じた。「ツヨシ、泣かんよ! 静かにしてぇ!」と母親の痛切な叫びが体育館に響き渡り、戦争の不条理が突き付けられる迫真の演技を児童たちは息をのんで見守った。
 会沢さんは「沖縄の人たちは米兵だけでなく、守ってくれるはずだった日本の兵隊からも逃げなければならなかった。私は沖縄に来るまで、この二つの戦争のことを知らなかった。県外にも出掛けていって、これを伝えなければという思いにさせられた」と活動の原点を語った。
 会沢さんは前田小校歌の作曲者で、元PTA会長でもある。講演会に参加した3~6年生たちは、校歌と「HEIWAの鐘」を大合唱した。幸喜涼太君(6年)は「平和をつくるために一人一人が何を行動していけばいいか考えていきたい」と感想を語った。