追悼式平和宣言「県外移設も選択肢」 知事、自民要請で再検討


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 仲井真弘多知事は、23日の沖縄全戦没者追悼式で読み上げる平和宣言から米軍普天間飛行場の県外移設要求の文言を削除するとしていた件で、県政与党の自民党からの再考の要請を受け、一転して「県外移設」を盛り込む方向で再検討に入った。

昨年までの「県外移設を求める」との直接的な表現は避けつつ、米軍基地の過重負担を指摘した上で、「普天間の危険性除去は喫緊の課題であり、県外移設も選択肢の一つとして取り組んでほしい」などとする方向で調整している。
 知事は昨年末に辺野古埋め立てを承認したことを受け、昨年まで3年連続で宣言に盛り込んだ「県外移設」の削除をいったんは決め、19日に与党に報告。だが与党側から「あえて外す必要もないのではないか」といった指摘を受け、20日に再調整した。11月の県知事選への3選出馬を検討している知事が、与党側の意向を重視した格好だ。
 仲井真知事は1期目の2007~10年の追悼式では基地の過重負担などについて訴えていたが、県外移設を公約に10年に再選を果たし、11年以降は式典でも県外移設に言及してきた。
 昨年末の埋め立て承認を受けて今年の宣言文が注目されたが、知事は「県外移設」の削除を19日の与党との懇談会でいったん報告。「県外移設の公約は変えていないので、『県外』という思いは全体の文脈を読めば分かる」などと説明し、普天間の5年以内の運用停止要求などに触れる考えを示したが、与党側が再考を進言していた。