強制避難、歩き体感 名蔵小中、山分け入り当時思う


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 【石垣】石垣市立名蔵小中学校の児童生徒24人が16日、軍命で住民が強制的に避難させられた島内の山中を訪れ、講師から体験談を聞きながら実際に歩き、当時の状況に思いを巡らせた。

 島内の戦跡を巡る平和フィールドワークで、毎年取り組んでいる。ことしは於茂登岳西方山中の白水(しらみず)と呼ばれる地域を訪れた。鉄血勤皇隊に所属していた潮平正道さんが講師を務め、当時の様子を描いた絵を見せ、避難する住民たちの姿を説明した。
 白水には避難用の小屋が設置されたが、山中は湿気が多く非衛生的で、まん延したマラリアで多くの人が死んでいったという。
 児童は避難住民が往来した山道を進みながら、壕や川の石を並べて造ったかまど跡などを見学した。避難小屋があった場所なども見て回った。
 潮平さんは「マラリアにかかった人と何度も遭遇した。次々と死者が出た。避難小屋があったことをイメージしながら、戦争について考えてほしい」と話した。

講師から当時の話を聞く名蔵小中学校の児童生徒たち
住民が強制避難させられた山中に入り、当時の状況を学ぶ児童生徒ら=16日、石垣市内