沖縄戦、歌って追体験 うちなーぐち合唱曲完成


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沖縄戦をうちなーぐちで描いた合唱曲を作詞作曲した赤嶺康さん(左)と名嘉憲夫東洋英和女学院大学准教授=22日、西原町の琉球大学

 【中部】沖縄戦を合唱で追体験しようと、このほどうちなーぐちの歌詞混声合唱組曲「沖縄(うちなー)や戦場(いくさば)になやい」が出来上がった。

伊是名村出身の名嘉憲夫東洋英和女学院大学准教授(57)が親族の戦争体験を基にした詩集を歌詞にし、作曲家の赤嶺康さん(43)が曲を付けた。2人は「沖縄戦の生々しさをうちなーぐちで描いた。歌い手や聞き手は当時の人々や状況に思いをはせてほしい」と願っている。
 合唱曲を作るきっかけは赤嶺さんが書店で名嘉准教授の詩集を手にしたことだ。「『ちらやかり―。わたはっぷぎてぃ―』。この表現だと思った。戦争の悲惨さや生々しさ、沖縄の人々がどうやって亡くなったのかをうちなーぐちで描いた曲を作りたいと心が動かされた」。赤嶺さんは名嘉准教授に曲を作りたいと手紙を送った。
 歌詞になった詩集は名嘉准教授の祖父母や義父母など親族の沖縄戦体験を聞き取ったもの。南洋群島で亡くなった叔父や祖父母の沖縄戦体験を亡くなる人々の様子をうちなーぐちで描いた。
 出来上がった混声合唱組曲は6曲。1~5曲目までは沖縄戦の悲惨さを中心に歌われている。6曲目には明るい和音を取り入れ、戦争のない未来への希望が描かれている。名嘉准教授は「沖縄戦を受け継いでいくと同時に、若い世代への希望も交えられた素晴らしい合唱曲。歌詞やメロディーをかみしめながら鑑賞してもらいたい」と話した。(当間詩朗)