えんグループ、空コンテナ活用し出荷 輸送コスト3分の1に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄向けより沖縄発の荷物が少なく物流面で課題となっている「片荷」を逆手に活用して、輸送コストを3分の1ほどに低減する取り組みが始まる。アジアに飲食店を展開する、えんグループ(又吉真由美代表)は、米軍関連物資などを運ぶコンテナで沖縄発の空コンテナを活用して、釜山を経由した香港への常温荷物の出荷を8月上旬から始める。

輸送する常温荷物の安定出荷に向けて、昨年販売を始めた「ごーやー茶」に続く第2段の飲料「雪塩黒糖ドリンク」を開発、香港、マカオのスーパーなど約500店に向け40フィートコンテナで毎月定期配送する。
 従来の台湾を経由した輸送では1キロ当たり15~20円のコストがかかるが、釜山経由の空コンテナ活用では5~6円に低減できるという。毎月の飲料輸送をベースに、ほかの物資などの輸送も受け付ける。えんの粟国尚貴ゼネラルマネジャーは「飲料をコンテナの柱に据え、いろいろな常温商品を混載していきたい」と話した。
 アメリカンプレジデントラインズ(APL)の貨物船は米軍関係物資などを運ぶ国外航路の北米航路で、米西海岸を出発し、アジアの横浜や青島(中国)、釜山(韓国)、那覇などを経由して米国へ戻る。那覇から釜山へ向かう空のコンテナに物資を積載する。釜山からは香港行きの別の船便に乗せ換える。沖縄から香港へは12~14日かけて輸送する。
 「雪塩黒糖ドリンク」は伊平屋島産の黒糖と「宮古島の雪塩」を使用した。7月8日から県内の沖縄ファミリーマート全店で税込み110円で先行発売した。今後は多良間島産黒糖を使用して「オール宮古」で提供する計画だ。
 昨年8月に発売した第1弾の「ごーやー茶」はことし5月から香港のスーパーウエルカム全300店にも卸し、これまで21万6千本を輸出した。「雪塩黒糖ドリンク」は年間24万本の輸出を目指す。
 えんの又吉代表は「香港の物産展で塩と黒糖はかなり売れている。沖縄観光も連想できるイメージがある。香港からも観光客が毎日訪れており、国際通りの店で雪塩を土産に買えば相乗効果も出る」と話した。
(滝本匠)

APLの空コンテナを活用して輸送コスト削減し、香港輸送する新飲料「雪塩黒糖ドリンク」をPRする関係者=9日、那覇市のえん沖縄
APLの空コンテナを活用したえん沖縄の物流コスト低減策