【島人の目】もう一人のママ


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 子どもや育児が好きな人が自宅などで子どもを預かってくれる、ドイツの「ターゲスムッター(Tagesmutter、保育ママ)」制度。地域によって多少違いがあるようだが、幼稚園の待機児童や保育所不足を補う目的もあり、一定の研修後、自治体からの認定を受けて保育を受け入れている。

 形態も保育料もさまざまで、自宅で少人数もあれば、場所を借りて2人の保育ママが多めに見ているところもある。自分の子育てが一段落した人や出産経験のない人、そしてもちろん、ターゲスファーター(Tagesvater、保育パパ)もいる。契約は自治体と保育ママとの3者で結び、収入に応じて自治体から補助がある。
 友人が子どもを預けている保育パパは洋服の管理だけは苦手で、間違えることがある、という一文が契約書にあるそうだ。子どものかばんに入っていた見知らぬ子ども服を手に苦笑いしていた。
 子どもにドイツ語を自然に身に付けてほしいという思いもあって、息子も1歳半から週4日、午前8時半から午後3時までお世話になっている。近所のママたちの紹介で、家から近くて、同じ年の子どもを持つ保育ママを見つけることができた。昼食はもちろん、朝食も含まれていて、忙しい朝に着替えを済ませたらすぐに送り届けられるのは働く親にもありがたい。食後は公園などに行って遊び、本を読んだり絵を描いたりして過ごしている。
 保育ママと個人的なつながりも深く、いい友人でもある。そしてまた実際子どもにとってのもう一人のママとして接してくれ、私よりも先に体調の異変に気付いてくれたこともあった。子どもの遊ぶ様子などが毎日のように写真で届き、共に成長を喜んでくれる。
 保育ママ自身の病気などで、代わりがいないため急に休みになることもあるが、お薦めのクリニックなどを紹介してくれたり、用事のある時は長く預かってくれるなど、とても助けられている。
(田中由希香、ドイツ通信員)