米、那覇空港の第2滑走路使用要求 米軍再編08年協議


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米軍が那覇空港の第2滑走路を緊急時に使用できるよう米政府が日本側に求めたことを記録した米公文書

 【ワシントン=島袋良太本紙特派員】2006年の米軍再編合意を受けた日米当局者による再編の進捗(しんちょく)状況に関する08年ごろの協議で、米政府が米軍普天間飛行場の代替基地に加え、緊急時には那覇空港の第2滑走路を米軍が利用できるよう、日本側に同意を求めていたことが分かった。

米軍再編協議に携わってきた米国防総省関係者は本紙の取材に対し「米側が第2滑走路の利用を望んでいることは公式・非公式の形で日本に伝えている」と明言した。
 米側は名護市辺野古に建設を計画する新基地の滑走路はオーバーランを含めても1800メートルで、現在の普天間飛行場の2700メートルに比べて短いことから、「大型航空機が利用できない」と説明し、有事などの際に米軍が那覇空港の第2滑走路を補完的に利用できるよう求めている。この日米間のやりとりは内部告発サイト「ウィキリークス」にも一部掲載されている。
 08年9月12日付の在日米大使館発の公電によると、訪日したセドニー米国防副次官補(当時)らが同年8月27、28の両日に坂篤郎内閣官房副長官補(同)、高見沢将林防衛政策局長(同)らと会談。セドニー氏が第2滑走路について「一義的には民間施設だが、緊急時は米軍機も受け入れられる」と日本側の同意を求めた。
 これに対し坂氏は「沖縄県民は純粋な民間・商業利用を想定している。仲井真弘多知事も同意しないだろう」などと難色を示した。
 これに関し公電は「第2滑走路に関する理解で、日米の間に食い違いがある」と本国に報告している。一方、第2滑走路の米軍利用について、「坂氏は当然今後さらなる議論をすべきだという点には同意した」とも伝えている。
 セドニー氏は冬柴鉄三前国土交通相(当時)とも会談。公電は冬柴氏が米軍の那覇空港利用に同意したかは記していないが、第2滑走路の建設は「米軍再編の実行計画と調和した形で進めると明確に述べた」と報告している。
 那覇空港第2滑走路は観光客増加への対応や過密運用の解消を目的にことし1月に工事が始まった。20年3月に利用開始の予定だ。