建設専門職求人2・45倍 県内、人手不足が深刻


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 県内建設業の型枠大工やとび工、鉄筋工などの専門職「建設駆体工事の職業」で6月の有効求人倍率が2・45倍となるなど、福祉や観光を含む各業界の人手不足が深刻化している。

これを受けて沖縄労働局と県は27日、人手不足の解消を図る啓発キャンペーンを8月25日から開始すると発表した。安心して働ける環境づくりや非正規労働者の正社員転換などを主要経済団体や業界団体へ要請して労働生産性の向上につなげる。
 労働局が27日に発表した6月の県内有効求人倍率を職種別に見ると、福祉や観光などの各分野で1倍を超え、仕事を探している求職者1人に対し企業が求める求人数の方が多く、人手不足の現状を示している。
 建設業全体では0・75倍と1倍を切り、土木作業員などは0・30倍、大工・左官・配管工などは0・59倍。一方、現場監督などを担う建築・土木技術測量技術者は1・54倍と人手が足りず、専門職で後継者不足や技術者の高齢化が深刻だ。特に、建設駆体工事の職業は昨年6月の0・85倍からことし6月の2・45倍まで急上昇した。
 コールセンターは1・95倍、旅館・ホテルなどの「接客・給仕の職業」は1・45倍と景気回復や観光客数の増加などを反映しているとみられる。看護師は1・43倍、保育士は1・05倍、介護は0・97倍と、高齢化社会を背景に福祉分野も働き手が不足している。
 労働局と県の人手不足解消に向けた啓発運動は8月から9月にかけて取り組む。全国で最も非正規労働者の割合が高い状況や、若者の早期離職の課題改善にもつなげたい構えだ。谷直樹沖縄労働局長は「従業員のモチベーションが高まり、離職率の低下や労働生産性の向上に期待したい。入職者も拡大し経営安定につながれば」と強調した。