辺野古に海自艦「ぶんご」 政府、掘削支援で検討


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
うるま市のホワイトビーチ沖に停泊する海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」。2007年11月撮影で、演習参加のための寄港とみられた

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けて沖縄防衛局が8月中旬にも実施する海底ボーリング調査を支援するため、政府が海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」(5700トン、海自呉基地)の派遣を検討していることが分かった。

「ぶんご」は、2007年5月に辺野古沖での事前調査の支援という名目で派遣された経緯がある。艦船を投入して国の圧倒的な勢力を誇示することで、移設に反対する住民らによる抗議行動を抑える狙いがあるとみられる。
 防衛関係者によると、07年の派遣の際の経緯に照らし合わせて検討が進められている。「国の施策に資する場合、法に基づいてあらゆる事態に対応できる」(同関係者)との解釈で今回も自衛艦を派遣できると判断。海自だけでなく、米軍施設内での研修の名目で陸上自衛隊を派遣することについても検討している。
 自衛隊法第82条は、海上での人命や財産保護、治安維持のために防衛大臣が自衛隊に必要な行動を命令できると海上警備行動を規定。近く実施される予定のボーリング調査で住民側と業者、海上保安庁などが海上で衝突した場合、政府の解釈で「警備行動」として海自が住民らを直接排除する可能性もありそうだ。
 政府は今回、辺野古の米軍キャンプ・シュワブ水域内で立ち入りを常時制限する区域を大幅に拡大するなど規制を強化。海底調査やそれに先立つブイ設置作業などに向けた準備を進めているが、海上での市民らの抗議活動を監視するため海上保安庁の巡視船を多数派遣している。
 掃海母艦は07年当時、環境影響評価の事前調査に使う観測機器を海底に設置する作業などを支援するために派遣されたが、「威嚇行為だ」などと批判を受けた。

<用語>掃海母艦
 海上自衛隊が保有する掃海部隊の母艦となる自衛艦。海に仕掛けられた機雷を除去する掃海艇に燃料や物資の補給をする。海上自衛隊は「ぶんご」と5650トンの「うらが」(横須賀基地配属)の2艦を保有している。ぶんごは甲板に速射砲を備えているほか、重機関銃なども搭載している。