歌う目的 原点再確認 宮沢和史「美食と音楽の旅」


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大城クラウディア(左)、アルベルト城間(右)とともに、時に熱く、時に癒やしの歌声を響かせた宮沢和史(中央)のライブ&トーク「美食と音楽の旅 ~ペルー・アルゼンチン編」=9日、沖縄市のカフェ&スタジオ「みやんち」

 宮沢和史(THE BOOM)のトーク&ライブ「美食と音楽の旅 ~ペルー・アルゼンチン編」が9、10日、沖縄市のカフェ&スタジオ「みやんち」であった。同ライブは3回目で、これまでブラジル、北海道と国内外各地にまつわる音楽を演奏してきた。

ペルー県系3世のアルベルト城間(ディアマンテス)、アルゼンチン県系2世のシンガー・大城クラウディアをゲストに招き、熱く、癒やしの歌声が会場を包んだ。
 公の場でのライブは昨年11月に活動休止して以来となる宮沢。これまで自らが立っていたステージをボクシング、格闘技の“リング”と表現した。「これまで立っていたリングから遠ざかってみて、本当にすごい、怖い場所に立っていたんだと気付いた。だが、今日はリングはない」とリラックスした雰囲気の中、等身大の自分でライブを届けられる喜びを伝えた。
 「20年来の友人」と話す城間とディアマンテスの「沖縄ミ・アモーレ」を披露。城間の体の芯まで響く熱い声に宮沢の優しい歌声が重なる。続いて、アルゼンチンの国旗をイメージした、大城の「青く、白く、青く、輝く太陽」では、大城の透き通る歌声が室内を満たしていく。時折宮沢のコーラスも彩りを加え、ぜいたくなライブが展開されていく。
 宮沢が作詞したディアマンテスの「太陽の祭」は城間が観客の手拍子を誘い、ラテン独特の陽気なイメージの1曲。宮沢がかき鳴らすギターの音色に合わせ、城間、宮沢の力強い歌声が響くと、ライブは終盤へ向かい、加速していく。「南米で最も盛り上がり、最も有名な曲」(城間)と紹介するディアマンテスの「花祭り」は、大城、城間が飛び跳ねながらリズムを取る。楽しげな1曲に観客も手拍子で応えた。
 「27年間立っていたリングから下りてみて、見えることもある。聴いてくれる人に歌うためにこれまで続けてきたんだと再確認した。久々にその原点に立つことができて感謝している」とあいさつすると惜しみない拍手が送られた。
 アンコールでは「アルベルト、クラウディアとの出会いの曲」と話す「島唄」を演奏。宮沢の三線から始まり、城間、大城は故郷に思いをはせるように、スペイン語で情感たっぷりに歌う。最後は観客もともに手拍子に合わせて歌い、ライブを締めくくった。(大城徹郎)