小4、絶滅危惧種タウナギ発見 北部に放流へ


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生物観察コンビ「やんばるあかちびさーるー」、タウナギの一種を発見した宇良光君(左)と新川柊君=8月28日、那覇市内

 自然観察と記録を続ける宇良光(ひかり)君(9)=那覇市立泊小4年=が8月24日、絶滅危惧種の淡水魚タウナギの一種を本島北部で発見した。本土の種と異なり、琉球列島で約570万年以上前から独自の進化を遂げ、普段ほとんど人目に触れることはない。宇良君は「(森林伐採や密猟の横行で激減する昆虫)ヤンバルテナガコガネと同じくらい保護が必要と聞いた。逃がした方が数が増えると思う」と話し、近々見つけた場所に返す予定だ。

 国内のタウナギは、生息環境の悪化により激減している。沖縄にしか生息しないタウナギの一種について琉球大学理学部の立原一憲准教授は「沖縄固有という意味で絶滅が懸念される。個体数の変動は分からないが、田んぼが多くあって、耕運する人目に絶えず触れていた昔と違い、今は目にすること自体が珍しい」と説明する。

宇良光君が本島北部で発見した、琉球列島で独自に進化した絶滅危惧種の淡水魚タウナギの一種=8月24日、本島北部

 宇良君が見つけたタウナギの一種は体長35センチほど。国頭村にある環境省のやんばる野生生物保護センター・ウフギー自然館に一時預けられた。宇良君の発見翌日に同館を訪れた高齢の男性は「子どものころに田んぼを足で踏んで耕していたら、泥の中から出てきて、びっくりして泣いたことがある」と懐かしそうに話していたという。

 宇良君の自然観察仲間の新川柊(しゅう)君(8)=沖縄カトリック小3年=も「数が減っているから、増やすために逃がす方がいい」と後押しする。2人は、3年前に北部の森で出会って意気投合、一緒に生物観察する。昼夜、森で生き生き観察する2人は親から「やんばるあかちびさーるー」(赤い尻の猿)と名付けられた。ゲンゴロウなどの水生昆虫に夢中の今、「お友達を募集中」だ。互いの将来の夢は「お金をたくさんためて環境省に入って、北部の山を買って保護したい」。自然観察と記録の腕前を互いに磨く毎日だ。(石井恭子)