[海保暴力]「答えられない」繰り返す 海保、取材に消極的


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海上保安官に羽交い締めにされ、顔から出血する男性(中央)=8月15日、名護市辺野古沖

 想定問答、だんまり。予約なしの取材は不可―。名護市辺野古への新基地建設をめぐり、海上警備を続ける海上保安庁。辺野古沖の事案に関する取材を申し込むたびに「個別的事案については答えられない」「担当者不在のため取材に応じられない」と繰り返すなど対応が十分とはいえない姿勢が目立つ。

 カヌーで抗議する市民らが海上保安官に取り押さえられ、けがをしたことについて聞くと、海保は「現場から報告が来ていない」と返答。けがをした男性の告訴に関しては「把握していない」とする。だが、現場ではゴムボート上の海上保安官が常にビデオカメラを回している。
 第11管区海上保安本部(秋本茂雄本部長)は取材に対し、想定問答のように「答える立場にない」「警備上の観点から答えられない」との言葉を繰り返す。現場の海上保安官も取材には応じず、ほぼだんまりを決め込んでいる。
 取材への対応も厳しくなりつつある。第11管区が入る那覇市曙の那覇港湾合同庁舎受付。今まで、報道機関は社名などの記載で入庁を許可された。だが、米軍キャンプ・シュワブ内にフロートやブイが搬入された7月末から、事前の予約がないと入庁できなくなった。11管区の本部長や次長らと毎月催されていた記者懇談会も今は行われていない。これに対し11管区は「業務都合のため」と答えている。