シャボン玉、替え歌… 訴えの形 多様 辺野古「新基地NO」


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 「闘いの場ではなく楽しい場にしたい」「若者を参加させたい」普天間飛行場の移設に伴う新基地建設に反対する座り込みの抗議活動が続く名護市辺野古。基地建設に反対する怒りの声が飛び交う時もあれば、音楽が聞こえ笑い声があふれる時もある。

県内だけでなく日本各地から集まった一人一人がさまざまな思いを抱いて辺野古を訪れる。その声はシャボン玉や三線、手作りのプラカードなど、多様なスタイルで届けられようとしている。
 那覇市から来た喜久里波美ちゃん(5)は海が好きだ。テレビで辺野古の映像が流れると「波美も行く。『許さんぞー』って言うー」とつぶやく。母の真寿美さん(30)は波美ちゃんに海や戦争の話をよくする。「こんなこと起こってるんだよ。この人たち海をなくしちゃうよ」と言うと、波美ちゃんは「どんなことしたらいいかな」と問い掛けてくるという。
 波美ちゃんは「いのちはたから」と書いたプラカードを作り虹やハート、海を描いた。「海がなくなったらいや。海好きだもん」
 1枚のチラシがある。「辺野古で海水浴を楽しもう!当海水浴場のライフセーバーは海上保安庁の職員が担当しています。遊泳の際はロープ内で泳いでください」と書かれている。フロート内に入るカヌー隊を拘束する海上保安庁の職員をからかったものだ。
 チラシを作った大学3年生の元山仁士郎さん(22)は「若者に集会に参加してほしい」と語る。宜野湾市出身、普天間基地のそばで育った。今は東京の大学に通う。帰省した時に初めてゲート前を訪れた感想は「運動の仕方が古い。若い人が参加したいと思わない」。
 今、同世代が参加したくなるような方法を考えている。「かっこいい、面白いなど価値観はいろいろある。いろんな視点からみんなで辺野古の問題を訴えていきたい」と話し、集会後はシャボン玉を吹いた。
 民謡「唐船ドーイ」の替え歌を披露するのは宜野座村の島田忠彦さん(66)。島田さんが三線を弾くと、ゲート前で座り込む人々は自然とカチャーシーを踊り笑顔になる。歌詞は基地建設反対を訴える内容に置き換えた。
 〈海やカヌー隊が陸やわったーが 基地や止(とぅ)みゆんどたっぴらかさな〉(海はカヌー隊が 陸は私たちが 基地を止めるぞ やっつけようよ)
 それぞれの思いが募った辺野古。多様な視点から、基地建設反対への思いを強くしている。(阪口彩子)

「いのちはたから」と自分で作ったプラカードを持って辺野古を訪れた喜久里波美ちゃん(左下)と家族=名護市辺野古の浜
「楽しい集会にしたい」とシャボン玉で遊ぶ大学生ら=名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前