「隠れた名盤」畠山美由紀『歌で逢いましょう』


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昭和の名曲中心に名うての演奏家との一発録り

 音楽界からも評判の高い女性歌手のカバー中心の作品。プロデューサーの沢田穣治が属するショーロ・クラブなど名うての演奏家との一発録りで雰囲気も抜群だ。

 全11曲中9曲は昭和の名曲を歌唱。穏やかな低音が続く中で、時に切なくカールする高音が入るとなお魅力的なのだが、それが映える『時の流れに身をまかせ』や『かもめはかもめ』といった選曲にも感心した。
 圧巻は5曲目からのド演歌4連発でコブシも冴える。『おんな港町』はハスキーな声を生かしてジャジーだし、『悲しい酒』もポップス系の人が端折りがちな台詞も涙まじりにこなし、演歌はハードロック以上に激情の吹き溜まりなのだと気付かされた。
 オリジナルの2曲『花の夜舟』『歌で逢いましょう』も絶品。共に天界の人々を想い出すが、彼女の切なくも優しい歌声により、歌が時空を超え逢わせてくれること、そしてそのことが地上にいる自分を支えるのだと感動した。本作を聴けば、大好きな歌をもっと増やしたいと思うはず。
 (ランブリング・レコーズ・3000円+税)=つのはず誠
(共同通信)
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つのはず誠のプロフィル
 つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。

歌で逢いましょう
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