昭和の名曲中心に名うての演奏家との一発録り
音楽界からも評判の高い女性歌手のカバー中心の作品。プロデューサーの沢田穣治が属するショーロ・クラブなど名うての演奏家との一発録りで雰囲気も抜群だ。
全11曲中9曲は昭和の名曲を歌唱。穏やかな低音が続く中で、時に切なくカールする高音が入るとなお魅力的なのだが、それが映える『時の流れに身をまかせ』や『かもめはかもめ』といった選曲にも感心した。
圧巻は5曲目からのド演歌4連発でコブシも冴える。『おんな港町』はハスキーな声を生かしてジャジーだし、『悲しい酒』もポップス系の人が端折りがちな台詞も涙まじりにこなし、演歌はハードロック以上に激情の吹き溜まりなのだと気付かされた。
オリジナルの2曲『花の夜舟』『歌で逢いましょう』も絶品。共に天界の人々を想い出すが、彼女の切なくも優しい歌声により、歌が時空を超え逢わせてくれること、そしてそのことが地上にいる自分を支えるのだと感動した。本作を聴けば、大好きな歌をもっと増やしたいと思うはず。
(ランブリング・レコーズ・3000円+税)=つのはず誠
(共同通信)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つのはず誠のプロフィル
つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。
Rambling RECORDS (2014-09-03)
売り上げランキング: 716
![](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/legacy/uploads/img54227d7ce34d5.jpg)
![](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/legacy/uploads/img51b8247a729d1.jpg)