通勤通学のお供に『東京ポッド許可局』


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「大東京ポッド許可局2014」に出演した(左から)サンキュータツオ、マキタスポーツ、プチ鹿島、作曲家の新垣隆さん

おじさん3人のへ理屈が人気

 電車の中で新聞を読んでいる人っていなくなりましたよね~。みんなの手元にはご存じのスマートフォン。かくいう私も、移動の楽しみはポッドキャストアプリでラジオ番組を視聴すること。『JUNK』『たまむすび』『TENGA茶屋』などなど…。音楽を聴く時間もめっきり減ったくらいで、スマホって本当に便利!

 不慣れな文体はこれくらいにして、本題に入ろう。皆さんの通勤通学時間を楽しくするコンテンツとして、TBSラジオの『東京ポッド許可局』(以下、許可局)をお薦めしたい。
 俳優としても活躍する音楽芸人マキタスポーツ、新聞、週刊誌といった「オヤジジャーナル」を独自の視点で切るプチ鹿島、「男津田塾」の異名を持つ学者芸人サンキュータツオの3人が、「へ理屈をエンターテインメントに」をモットーに硬軟自在なテーマを論じ尽くす。
 他の番組と大きく違うのは、ポッドキャストのみで配信する自主制作からスタートしていることだ。2008年、仕事に恵まれなかった3人が毎週更新の番組をひっそりと開始。手弁当で続けるうちに「許可局員」と呼ばれるリスナーを引きつけ、11年には登録者数が30万人を突破。13年、ついにTBSラジオでのレギュラー放送に上り詰めた。
 「お笑い界の周辺者」「王道の売れ方をあきらめた」ことを自認する3人は、メーンストリームのお笑い芸人たちとは違った形で芸能界の中心部へと近づいていく“ドキュメンタリー”として、許可局を楽しむ視点を推奨している。
 デビュー間もないアイドルを“青田買い”し、ビッグになるまで応援し続けるように、3人のおじさん芸人が、芸能界で確固たる地位を築いていく経過をも楽しもうという提案だ。善玉レスラーを踏み台に一旗揚げてやろうというギラついた野心は、いつだってわれわれを引きつけてやまない。
 8月、東京・日比谷公会堂で開催した有料イベント「大東京ポッド許可局2014」には、3人の進化を見届けようとする2千人の局員たちが集結した。
 久保ミツロウ、能町みね子とのゲストトークなど正統派のストロングスタイルで楽しませつつ、サプライズとして、作曲者偽装問題で楽曲を代作していた、あの新垣隆さんを登場させた! この日一番のどよめきに、かつてのスタン・ハンセン全日本プロレス電撃移籍が頭をよぎった。
 もはやブレーク目前の“リーチが掛かった”状態で、「会いに行けるおじさん」でいられる時間は限られてきた。バスに乗り遅れたくなければ、ポッドキャストをダウンロードするしかないだろう。(近藤誠・共同通信記者)
(共同通信)
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近藤誠のプロフィル
 こんどう・まこと 1999年入社、現在は東京エンタメ取材チームに所属。宮城県出身。しおりん(ももクロ)推し。