「隠れた名盤」ザ・キングボーイズ『涙のロンリーボーイ』


社会
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涙のロンリーボーイ

世代の違う男性演歌歌手3人組の企画盤

 40代の岩出和也、50代の藤原浩、60代の北川裕二による男性演歌歌手3人組の企画シングル2作目。過去に大ヒットのない実力派だからこそ、自由な作品が作れたのだろう。(ちなみに同社では佐田鏡五一郎というさらに年輩の演歌歌手トリオの企画も存在。)

 表題曲はムーディーなオールディーズ歌謡。ソロでのド演歌からかけ離れているが、男らしく哀愁をにじませる岩出、明るく優しい声の藤原、そして素朴に伸びる北川と、作風が変わると元の個性も若々しく響いて面白い。
 カップリングの『夢でいいから』は、『星降る街角』というより『ジュリアに傷心』に近いジルバ歌謡だが、3人の息がピッタリ。伊戸のりおらしいギターソロの豪快さも相まって、より愉快になれる。基礎力があるのだから、今後はもっとハメをはずした歌声も聞いてみたい。
 これまでの全4曲を謎(?)の作曲家、Steve Mirkinが手がけている。本作を聞けば、いつもと違うファッションで出掛けたくなるはず。
 (キング・1143円+税)=つのはず誠
(共同通信)
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つのはず誠のプロフィル
 つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。

ザ・キングボーイズ『涙のロンリーボーイ』
つのはず誠