「ＤＶＤ＝２」『TM NETWORK 30TH 1984― THE BEGINNING OF THE END』

未来への一歩を踏み出そうという思い

　１９８４年にデビューした男性３人組音楽ユニットのデビュー３０周年を記念したツアーから、２０１４年５月２０日に東京国際フォーラムで行ったライブを収録している。デビュー１０年目に一度“プロジェクト終了”宣言をしたが、１９９９年に再始動。不動メンバーの小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登はそれぞれ個々の活動を続けているが、ＴＭ　ＮＥＴＷＯＲＫという基盤は揺らいでいないように思える。

　音楽のライブには「観客巻き込み型」と「世界観の提示型」の２種類がある。本作は明らかに後者。異次元からやって来た３人が「地球の科学や文化を調査し報告する」という３０年間の任務を経て、最終ミッションに着手した…という物語のもと、３人の衣装も近未来的なデザインだ。初期のヒットを新たにアレンジした『金曜日のライオン　２０１４』『Ｃｏｍｅ　ｏｎ　Ｌｅｔ‘s　Ｄａｎｃｅ　２０１４』『Ｓｅｌｆ　Ｃｏｎｔｒｏｌ　２０１４』などを聴かせ、過去を更新して、未来への一歩を踏み出そうという思いが感じられる。
　ラストにはＣＡＲＯＬが登場する。ＴＭ　ＮＥＴＷＯＲＫの世界観の中では重要なキャラクターとなる少女で、同名のコンセプトアルバムも出ている。小学生の頃にその世界観につかっていた筆者は、彼らのスタイルの変わらなさに感心し、また感慨深かった。
　（エイベックス・６５００円＋税）＝小西樹里
（共同通信）
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小西樹里のプロフィル
　こにし・じゅり　１９７７年生まれ。米東海岸で高校・大学時代を過ごす。雑誌編集を経て、２００６年よりフリー。音楽、本、映画、演劇、写真、ラジオなど文化系を守備範囲とする一方、国際政治論／動静ウオッチャーでもある。