ハンマー投げ知念3位 ハンド興南、準決勝に進出 長崎国体


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 【長崎国体取材班】第69回国民体育大会(長崎がんばらんば国体)は第7日の18日、各地で競技を行った。陸上競技はハンマー投げの成年女子決勝で知念春乃(那覇西高―九州共立大―日本体育施設)が59メートル58を投げて3位入賞した。高校全国3冠を目指すハンドボール少年男子の興南は準々決勝で千葉選抜を33―26で下し、4強入り。

19日の準決勝で岡山選抜と対戦する。ライフル射撃少年女子エアライフル立射10メートル40発は安谷屋友里恵(興南高)が決勝に進み、161・6点で4位に入った。なぎなた少年女子試合競技は5位決定戦で大分に1―2で敗れ、6位だった。ソフトボール少年男子の沖縄選抜は1回戦で岩手選抜に5―1で快勝し、準々決勝に駒を進めた。19日の県勢はバスケットボールなど8競技に出場する。

◆知念、会心一投出ず 「来年こそ日本一」誓う
 アドレナリンをたぎらせてサークルに入った知念春乃のハンマーは晴天目がけてきれいな弧を描いた。「ターンはいまいちだったけど、リリースは粘れた」という1投目は、59メートル19のロングスローでトップに立った。目標の60メートル超えを「きょうはいける」と思った。
 ハンマーを振り上げた1、2回転目のリズムは良かったが、速度を上げる3、4回転目のリズムがうまく上がらなかった。2投目、3投目と記録を伸ばせないでいると、アジア大会銅メダルの綾真澄(香川県)が62メートル超えの本領を発揮し、広島代表にも追い抜かれて3位となった。
 4投目は59メートル58まで記録を伸ばしたが「会心の投げではなかった」。7月に大学の記録会で出した自己ベスト61メートル52にも及ばなかった。
 沖縄を離れて6年。社会人になって平均記録も伸び、成長を感じている。「陸上へのきっかけをくれた沖縄の先生方がいる」と国体に特別熱い思いで臨んだだけに「順位も記録も納得はいっていない」と悔やんだ。
 身長161センチの知念とほぼ同じ綾は、平均的に60メートルを超える記録を出した。「安定感がすごい」と感心した知念は「60メートルを壁だと思ってしまっていた。60メートルを意識していてはコンスタントに超せていけない」と反省し「(34歳の)綾さんが現役のうちに超えて、来年こそは日本一になる」と誓った。
(関戸塩)

◆ハンド少年男子・興南 3冠へ死角なし、速攻で主導権握る
 千葉選抜との準々決勝は“横綱相撲”だった。田里亮稀が「昨日(2回戦)と同じで、動きが悪かった」という序盤はペースをつかめず、互いに点を取り合う展開。しかし興南がそこで慌てることはなかった。
 高い位置からプレスをかけるディフェンスに修正すると、伊舎堂博武や下地利輝の速攻が決まりだした。2人に相手DFがつり出されると、ポストの川上勝太が得点を挙げる。
 主導権を握ると、前半終了間際には6連続得点で一気に引き離して試合を決めた。6得点の川上は「他の選手がうまく使ってくれた。自分の役割が果たせた」と胸を張った。
 黒島宣昭監督が「おとなしい子たちが多い」と評するチームだが、3冠に懸ける気持ちは本物だ。3年生は国体に出発する前日に、バリカンで互いの頭を丸刈りにした。提案した田里は「国体への気合の表れ」と話す。
 全国選抜、総体とすでに2度、日本一を手にした。しかしそこで燃え尽きることもなく、油断することもない。
 3度目の頂点へ静かな闘志を燃やす貪欲な王者に、死角は見当たらない。
(荒井良平)

成年女子ハンマー投げ決勝4投目で、59メートル58を投げる知念春乃=18日、諫早市の長崎県立総合運動公園陸上競技場(金良孝矢撮影)
ハンドボール少年男子準々決勝沖縄―千葉 力強いシュートを放つ興南の田里亮稀=18日、長崎県佐世保市東部スポーツ広場体育館(荒井良平撮影)