台風でサシバぐったり 手厚い看護で再び大空へ


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台風で体力が衰弱し、息が絶えそうなサシバを手厚く保護した高崎健夫さん=12日、伊江村川平の高崎健夫さん宅の庭

 【伊江】沖縄本島周辺に大型の台風19号が襲来した12日未明、伊江村川平の高崎健夫さん(67)が自宅庭先で、ぐったり倒れている1羽のサシバを見つけた。高崎さんが拾い上げ、ぬれた体を温めるなど、数時間にわたり手厚く「看護」した。気持ちが通じたのか、羽を動かせるまでに体力を回復。十分空を飛べると判断し、自然に返した。

 高崎さんは、台風の目に入ったと思われる12日午前零時すぎ、被害状況の確認のために家の周辺を見回ると、レンブの木の根元で、雨にぬれ、ぐったり倒れているサシバを発見した。高崎さんが手に捕ると、特にけがはなかったが、体が震え、今にも息が絶えそうなほどに弱っていたという。タオルで体を拭き、ヘアドライヤーで乾かして温めた。ダンボールの箱に入れて夜を明かした。
 同日午後3時ごろ、吹き返しの風は強かったが、「もう大丈夫。元気に育ってほしい」との願いを込めて大空へ放した。
 左右両方の羽を広げると50センチほどのサシバは、風に乗り、元気に羽ばたき、自然の中へ返っていった。
(中川廣江通信員)