興南、一丸の輝き 長崎国体第9日


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ハンドボール少年男子決勝・興南―神奈川選抜 前半、力強いシュートを放つ興南の下地利輝=20日、佐世保市東部スポーツ広場体育館(仲本文子撮影)

 【長崎国体取材班】第69回国民体育大会(長崎がんばらんば国体)は第9日の20日、各地で競技を行った。少年男子ハンドボール決勝で県代表の興南が神奈川選抜に36―33で勝ち、9年ぶり2度目の全国3冠を達成した。

国体の優勝は選抜チームを含む沖縄としては3年ぶり4度目、興南単独チームでは9年ぶり2度目となる。なぎなた成年女子試合で沖縄は準々決勝に敗れたものの、順位決定戦で奈良に2―1で勝利し、6位入賞した。バスケットボール少年男子の沖縄選抜は3回戦で山形に88―91で敗れた。陸上の成年少年女子共通400メートルリレーで沖縄は46秒63で準決勝に進んだ。男子は予選敗退した。世界選手権銀メダルの七戸龍(那覇西高―福岡大―九州電力)を擁する柔道成年男子は2回戦で敗れた。21日の県勢は剣道など3競技に出場する。

◆重圧越え金字塔/笑顔と涙 分かち合う
 試合終了を告げる長いブザーが鳴る。全国3冠の偉業を成し遂げた興南に、祝福の拍手が送られる。コート上の選手たちは肩を抱き合い、ハイタッチ。笑顔がはじける。でも涙もあふれた。主将の下地利輝は「3冠のプレッシャーもあった。ほっとした」と安堵(あんど)した。重圧をはねのけてつかんだタイトルの輝きは、これまでの全国制覇と比べても格別だ。仲間たちといつまでも喜びを分かち合った。
 決勝まで危なげなく駒を進めた。しかし3冠への最後の関門は甘くなかった。先行されて追い付き、離されて逆転し、また追い付かれる―。序盤から神奈川選抜と息の詰まるシーソーゲームが続いた。
 それでも「負けるかもしれない」と弱気になる選手は誰一人いなかった。田里亮稀は「こんな接戦やったことない。楽しもう」と思った。伊舎堂博武も「仲間と一緒なら楽しめるし、絶対に勝てる」と確信していた。その言葉通り、最終盤に相手を突き放して逃げ切った。
 これで公式戦無敗のまま3年生は引退し、チームは解散する。絶対的なエースはいない。みんなで守り、みんなで点を取って勝利を重ねた。「普段から本当に仲が良くて、それがプレーにも出てた」(下地)。「声に出さなくてもお互いの考えてることが分かる」(田里)。最高の仲間たちでつくる最強のチームが金字塔を打ち立てた。(荒井良平)